あの時、学校に行っていなかったら・・・



あの時、井戸に行っていなかったら・・・



あの時、彼に会わなかったら・・・



恋した人には、既に愛する人がいた。
それでもいいと思っていた。
最初の頃は・・・      


















彼女思い 〜第1章〜




















「私って犬夜叉のなんなの?」
















ここは、森の一角。
2人は水汲みに来ていたのだ。
周りには誰もいない・・・





突然こんな質問をしてしまった。
今更ながら馬鹿な質問をしてしまったと思っている・・・
でも、聞かずに入られなかった。
毎日毎日思い悩んでいたことだったら・・・




「えっっっ・・・・・!!!!!」




一瞬顔が曇ったのが分かった。

そこでかごめは正気を取り戻した。



「ごっ・・・ごめん!!!変なこと聞いちゃったね!!!忘れて!!!!!本当にごめんなさい!!!!」


そう言い終わるとかごめは今来た道を走っていた。



どうして・・・・・!!!!どうして、あんなこと聞いちゃったの・・・!!!



逃げるのは卑怯だと思った。
でも、そこには居られなかった














彼女はどこに行った・・・・???
追いかけたい。 
追いかけて抱きしめたいのに・・・!!!!
どうして俺の体は動かない・・・????












犬夜叉はただ座っていることしか出来なかった。
あまりにも突然で・・・


空は2人の気持ちのように雨が降り出していた。

さっきまで一緒にいた、愛しい人の香りは水に流されていく。
まるで、さっきまでの出来事が嘘のように・・・

















はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・


やっぱり彼は追いかけてこない・・・


あんな質問をして・・・
自分はなにを求めているのか・・・
辛い・・・・・
そんなに私は必要がないの・・・?


気がつくと見慣れた小屋の前。

かごめは乱れた息を整えるために大きく息を吸った。
そこである大きな決断をする。




「ただいま〜〜〜!!!」
「遅かったぞ!!!!!かごめぇ〜〜〜」

飛びつきながら話すのは一匹の子狐、七宝。

「ごめんね。ちょっと遠くまで行ってきちゃった。」

かごめは笑う。
すると、七宝はあることに気付く。



「ん・・・・?犬夜叉はどこに行ったんじゃ?」
「えっ・・・えっと・・・・犬夜叉は・・・・・」



かごめの顔が見る見るうちに曇っていく。

「???どうしたんじゃかごめ・・・・???」
「ううん!!!!!なんでもないよvvv犬夜叉は後から来るよ。今雨降ってるから、私だけ先に帰ってきたの。
ほら・・!!!!!雨降ってるでしょっ??」
 




そう言うとかごめは扉を開けた。
確かに今も雨は降っている。
さっきよりもひどく・・・ひどく・・・。






「本当じゃ!!!おら、雨が降っていたなんて、全然気がつかんかったぞ」
 

七宝は外を見て、嬉しそうに話をしている。

が、そんな話も彼女には届かない。





犬夜叉・・・・

今頃何してる・・・??
あんな質問してごめんね・・・・・
でも、どうしてもあなたの口から真実を語って欲しかった・・・
それももう、叶わないけどね・・・・・

























今、俺は何をしている・・・???
さっきから俺に当たるのはなんだ??
ははっ・・・・!!!!!
やけにつめてぇな・・・
そうか・・・・これは雨か・・・・
もう・・・どうでもいい・・・








犬夜叉はゴロンと寝転がった。
そして、目を閉じた。
その姿はまるで、何も見たくないと現しているようだった。























「・・・・ごめっ!!!かごめっ!!!!!!!」
「・・・えっっっ!!!!!!!!ご・・・ごめんね!!!!!何の話してたんだっけ?」

慌てて下を向くと七宝が不安そうにかごめを見ていた。

「かごめ、どうしたんじゃ?具合でも悪いのか??」
「そんなことないよ。大丈夫だから・・・」

そう言って、かごめは七宝の頭を優しく撫でた。

「そういえば珊瑚ちゃんは?弥勒様も居ないし・・・?」

「珊瑚と弥勒は薬草を採りに行ったぞ。おらは、お留守番をしとるんじゃ。」

かごめは決心した。


今しかない!!!!!!!



かごめはまず、ひざの上に乗っている七宝を横に置いた。


「かごめ・・・・???どうしたんじゃ????」
「ゴメン!!!七宝ちゃん!!!!!今からちょっと出て行くね」

そう言うと、自分の荷物をまとめだした。








出来るだけ、軽く。


あの人との思い出は、ここに置いて。


あの人の思いは、ここに置いて。








「七宝ちゃんこれあげるねvvv」

かごめは七宝の目の前に、お菓子を置いた。

「こんなにくれるのか?」

七宝の目は輝いている。

「うん!!!!これ全部あげる!!!!だけど、一気に全部食べちゃだめだよ」

かごめは笑う。









ごめんね。
ごめんね。
今までありがとう。
小さい体で私をいつも守ろうとして・・・
もう2度と会うことはないけれど、あなたのことは大好きだよ。










「かごめ・・・・いつ戻ってくるのじゃ・・・・?」

七宝は不安な顔で、かごめに問う。
かごめは、ふっと微笑むと七宝の前に座った。


「夕方ぐらいに帰ってくるよ。私が今まで帰ってこない日があった?」


かごめは、ぺちゃんこになった黄色いリュックを背負うと、今入ってきた扉へと足を進めた。
扉の前までくるとかごめは、くるりと七宝のほうに振り返った。


「七宝ちゃん、このこと誰にも言っちゃだめだよ。もし聞かれたら、知らないふりをして。」
「どうしてじゃ・・・・?」
「みんなに心配をかけたくないの。ねっ!!!!お願い!!」
「・・・分かった!!!!かごめの頼みじゃ!!おらにまかせろ!!」



七宝はドンッと胸を叩いた。
その愛らしい姿にかごめは思わず抱きしめてしまった。











ごめんね。
ごめんね。
あなたに嘘をついてしまって・・・。
どうか私のことを忘れて・・・・・。
どうか幸せになって・・・・。









「かごめ・・・?やっぱり具合が悪いのか?出掛けるのは明日にしたらどうじゃ???」

この言葉に我に返った。

「大丈夫だよ。じゃ、行ってくるね。」
「気をつけるんじゃぞ。かごめ。」





外を見るとやっぱり雨。
かごめは、自分の世界から持ってきた傘をバッと開いた。

その傘をさし、犬夜叉がいる正反対の方に歩いて行った。




















かごめを見送るものは誰も居ない。

雨だけが彼女を見送っていた。




















あの時、学校に行っていなかったら・・・

あの時、井戸に行っていなかったら・・・

あの時、彼に会わなかったら・・・

恋した人には、既に愛する人がいた。
それでもいいと思っていた。
最初のころは・・・


























しぴの戯れ言
初!!真ん中に文字を寄せてみました!!!
どうでしょうか??
いつも、右か左に寄せてるんでねvv
これは、まだ続きますよ。



   

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